水銀血圧計は血圧測定をする上ではもっとも正確な測定が可能とされています。そのため、多くの診療科目でも使用されると思われますが、外来などの内科では必須の測定であると思われます。
その人の健康状態を図るために第1に把握するのが血圧です。体温と脈拍とともに「バイタルチェック」と言われ、とても重要なものとなります。その血圧を測るために血圧計を用います。
水銀血圧計の場合、血圧計本体に加え聴診器が必要になります。まず血圧計のカフと言われる、血圧計本体と空気をおくる管でつながった帯を上腕に巻きます。きつすぎずゆるすぎない感じです。そして肘の内側の動脈の表面にあたる部分を探し(指をあてるとドクドクと感じます)、そこに聴診器を当て、カフに付属のポンプで空気を送ります。
帯は空気でしまって行きますが、ある程度になったら聴診器を耳にセットしその空気を少しずつ抜いていきます。そうするとドクドクという音(コロトコフ音といいます)がし始めます。その時の水銀で示される値が最高血圧となります。また空気を徐々に抜いていくと今度はその音がなくなるところがあります。そこが最低血圧となります。上手に図るためには練習が必要ですが、確実に血圧を測ることができます。
水銀血圧計は上腕部を圧迫しますので、肘の位置が胸の心臓ほどの高さと同じ程度に置かれることが必要です。また上腕部を他に圧迫したり、脇の下に衣服が挟まっていないかに注意をする必要があります。衣服の袖をまくり上げて脇の下が圧迫されて血圧を測定できなかった失敗をしたことがあります。また、当然腕のどちらかに病気がある場合や、その影響が大きい場合はその腕での血圧測定はできません。乳がんの手術後の患者さんの、手術をした方の腕で血圧をはかり、主治医から叱られたこともあります。
その他、点滴などをしている患者さんの場合、点滴をしている方の腕はさけるのが普通ですが、点滴をしていない方の腕が、病気の影響を受けていたりする場合もあり、その場合には点滴をしている方の腕で測定することもあります。
そして、個人差がありますが、左右の腕で血圧の測定値に違いがあります。動脈硬化など血管が狭くなる病気などがある場合にはどちらかの血圧が不正確ということもありますので、しっかりと見極めて測定する必要があります。両方の測定が必要な場合もあります。安静時の血圧を測るのが原則ですので、相手に緊張させたり、不安がらせたりする行為も慎むべきでしょう。そして継続して計測して記録していくことが、健康管理には大事なことです。