まず言えることは、残業をすれば残業代は発生します

これはどのような仕事に就いていたとしても発生します。近頃、「この会社、残業代出ないんだよなぁ」という話を聞くこともありますが、それは明らかに「違反」なのです。

残業代を支払わないということは、病院側からしてみたらタダで労働力を利用しているということになり、そのようなことは社会的ルールに照らし合わせてもまかり通らないのです。

残業代を支払わない側は分かって支払っていない

まず世の中の常識として、時間外の時間に働けばそれは残業扱いになります。当然、看護師を雇っている病院もドクターも当たり前のように分かっていることなのです。それでも残業代が支払われていないということは「分かって支払っていない」のです。ワザと支払っていないということになります。

看護師の場合、労働時間が不規則になることがあります。そのため、ごまかされやすいと言えます。基本、何も言わなければずっと支払われることはありません。

しばらくしてから「残業代払っていなかったね。ごめんね。今までの分払うよ。」なんてことはありません。残業代を支払っていない病院は分かって支払っていないわけであり、払いたくなくて払っていないため、何も言わない限りは払うことはないでしょう。

残業代の支払いは労働基準法で定められている

残業代に関しては労働基準法で「残業」という扱いになり、賃金が発生します。通常よりも1.25倍と決められています。なので、残業することがあれば、残業代をもらう権利があり、請求する権利もあるのです

ただし、看護師の場合は少し労働時間が不規則な場合があります。「変形労働時間制」と言われるものです。通常は1週間で40時間までの労働ですが、1週目・2週目が48時間労働で、3週目・4週目が32時間労働だった場合、平均すると1ヵ月で1週間40時間労働と言うことになります。

1週目と2週目は48時間労働だったので、8時間残業と言うように見えますが、3週目と4週目が32時間労働だったので、通常の労働時間である40時間よりも短く、平均すると1週間40時間労働だったため、こういった場合は残業代の対象とはなりません。

今回は1ヵ月を通してみた場合ですが、これを1週間単位で見る場合と、1か月単位、1年単位で見る場合があります。どれを採用しているかによって場合が変わってくるので、この辺りをチェックしておいた方が良いでしょう。

話を戻しますが、色々な条件によって、それが残業であるのかそうではないのかと言う見方が変わる可能性があるということをまずは覚えておいてください。

例えば、1年間病院に勤めてみて、タイムカードと給与明細を照らし合わせ、明らかにおかしい場合には、病院に対して残業代の請求をしてみると良いでしょう。もしくは労働基準監督署で相談をして判断してもらうのも良いと思います。

研修や出張などは残業代の対象となるのか?

通常の勤務以外で、研修と称して残業することがあるかと思います。場合によっては出張することもあるかと思います。研修のための残業や、出張費はどうなるのでしょうか。

これは「自主的なのか?また、強制なのか?」等によって変わってきます。

つまり、例えば研修。その研修が日頃の業務に関すること、もしくは将来的にでもその病院に利益になる可能性がある場合は、残業代として認められます。また、出張に関しても同じことで、それにかかる交通費、その他諸経費は請求することができます。

ただ、それら研修や出張が、看護師本人のためだけの利益になるものである場合には、残業代として認められない可能性があります。その辺りの判断は勤務している病院によって分かれる可能性があります。

業務に関することであれば全て仕事として見なされる

業務に関することであれば、どんなことであっても労働として見なされます。例えば、始業時間前に1時間早く出勤しナースセンターの掃除を行ったとしましょう。それが上司からの指示であった場合には完全に「労働」とみなされ、賃金が発生します。ただし、これが自主的であった場合には、賃金が発生する可能性は低いと考えてください。

これが、業務に関する行動であった場合は少し違った見方となります。変な話、掃除の場合はしてもしなくても、業務に支障はきたしませんが(衛生面を考えると本当はきたすのですが・・・)、通常の業務をする上で、支障をきたす可能性のある行動であった場合には、「労働として見なされる」ようになります。

例えば、看護師長から多くの仕事を任されたとします。通常の勤務の中では到底終えることができず、病院に残って仕事を片付けていたとしましょう。これは当然「残業」です。また、その仕事を持ち帰って作業をしていたとしましょう。こういった場合も「残業」です。また、次の日、始業時間よりも早く出勤し、仕事を片付けていたとしましょう。この場合も賃金が発生します。

つまり、これらすべての行為に共通していることは「看護師長からの指示」と言う点です。では、看護師長からの指示ではなく、自主的に仕事を勤務時間外に行っていた場合はどうなるかと言うと、全ての場合において残業代の対象にはなるが、認められない可能性もあるということになります。これは勤務している病院の判断になってきます。

残業代の未払いはどうしたら解決する?

残業代の未払い分を解決するためには4つの方法があるでしょう。

自分で病院側に話をする

解決するかどうかは別として、一番簡単にできる方法です。ただし、残業代を支払っていない側は分かっていて支払っていないため、話をした程度で解決するとは考えにくいです。

代理人に病院側に話をしてもらう

自分ではなかなか働いている病院に言い出せないものです。例え言ったとして、その後、どのように思われるのか、また、以前のように勤めることができるのか心配になることでしょう。

そういった方は、弁護士といった「代理人」に変わりに話をしてもらうことができます。手数料はかかりますが、自分で話さなくても良いのが魅力です。

労働基準局に届ける

実名で届けるのか、それとも匿名で届けるのかによって、対応が変わってくるようです。実名の場合、早い段階で対応してくれるようですが、名前が分かってしまうので、その病院では働きづらくなるかもしれません。

一方、匿名の場合は、なかなか思い切った調査ができないという話です。また順番も後回しにされ、時間がかかるとのことです。

労働条件が整った病院へ転職する

正直、転職するのが一番手っ取り早い解決策です。看護師求人サイトを利用し、コンサルタントに「残業代が必ず出る」という条件を伝えれば、残業代が必ず支払われるおススメな転職先を教えてくれます。

高待遇の転職先は沢山 少し行動すれば良いだけ

看護師は人手不足です。なので、高待遇で迎えてくれる病院は沢山あるのです。看護師求人サイトに登録すれば、希望通りの求人をすぐに提案してきてくれます。待っているだけで何もすることはありません。

無理して、そして割に合わない状態で働き続ける必要はありません。ただでさえ大変な仕事なので、労働条件だけはしっかり整った病院で働いた方が、余計なストレスを抱えなくて良いでしょう。