挿管チューブは挿管するときに使用します。

挿管とは、患者さんが息できなくなった場合、呼吸が止まった場合、治療がスムーズにできないが安静が守れない患者さんの場合等、呼吸管理をすることです。当然、挿管チューブの先には人工呼吸器が必要です。それにより呼吸を助けることができるようになります。挿管チューブのサイズには小児から成人まで、沢山の太さのものがあります。成人の場合は7.5~8.5Fr(フレンチ)を使用することが多いです。

挿管までの流れは次の通りです。まず、挿管チューブを袋から出し、シリンジ(注射器)で尖端にカフ(風船がついていて、気道内で固定できるもの)を膨らませ、破損がないか確認します。次にキシロカインスプレーを挿管チューブのなかに噴射し、スタイレット(挿管チューブだけでは柔らかいので芯となるもの)を挿入します。その際、尖端が挿管チューブより出ていると、その硬いスタイレットで体内多くは気道を傷つけてしまう恐れがありますので、注意しましょう。お医者さんによっては、かなり屈曲させて挿入されることもあります。

カフ(風船)に破損がないか確認後、またしぼませて、KYゼリー(ぬるぬるした滑りのよいゼリー)を塗っておきます。喉頭鏡(尖端に見やすいように光がついたもの)を使用し、喉頭展開(患者ののどを大きく開け、チューブが入りやすいような道順をつくること)したあと、挿管チューブを渡します。肩枕(肩に枕をいれて患者ののどを上につきだす)をすると挿管しやすいと言われています。

挿管できたら、カフを入れて、スタイレットを抜きます。ジャクソンリース(酸素を含ました風船を膨らませたりしぼませたりできるもの)を挿管チューブの尖端につけ、空気が肺に入っているかチェックします。誤挿管(片方の肺にしか入っていないことや間違って食道にはいっている)していないか確認するために両肺と胃の聴診をします。

人工呼吸器が設定できている場合は、挿管チューブをテープで固定したあとに繋ぎます。まだできていなければ。始業点検し、人工呼吸器を作動させます。レントゲン撮影し、確認して終了です。看護師もしっかり聴診しておくことが大切です。

また、ポイントとしては、etCO2モニターをつけておくこともおすすめします。CO2の値を測定できるもので、挿管チューブの先にあれば、胃に入っていれば値は出ません。人間は胃から二酸化炭素は排泄できないためです。また、固定のテープの仕方も病院によって違うと思いますが、最初の長さから変わってしまわないように注意します。

気管支鏡をしそうな患者さんには少し太めのチューブを挿入されることが多いです。気管支鏡の管が通らないので。また、人工呼吸器は長期になりそうな患者さんにはあらかじめ加湿回路で設定しておくこともいいかとおもいます。痰がねばっこい患者さんには痰詰まりでチューブ閉塞となり、呼吸ができなくなるといった急変も考えられるためです。