中心静脈はCVと一般には呼ばれています。カテーテルとは細い筒状の管になっていて、「薬剤を投与する経路」といった感じです。たくさんの薬を入れなければいけない患者さんだったり、大事なお薬、例えば、血圧を上げ下げする薬や不整脈を治すお薬など、循環動態に関する命にも直結するようなお薬を入れる患者さんに利用することがあります。

その際には慎重に投与しなければいけません。いつも簡易に取れる末梢ルート(手や足などの細い血管で点滴する場合に挿入・留置する管)とは違い、比較的太くて丈夫な点滴といったいイメージです。

CVカテーテルを挿入する目的

このCVカテーテルを挿入する目的とはいろいろありますが、大量輸液、輸血、薬剤投与の他にも中心静脈圧の測定や経静脈高カロリー輸液投与にも使用します。目的として少し詳しく書きますと、中心静脈圧というのはCVPとも言いますが、循環血液量の増減をみたり、右心房の圧を測定できます。後で、記述しますが、CVカテーテルは左右内頸静脈から挿入したり、左右ソケイから挿入します。それは太い静脈(上大静脈や下大静脈)に留置するためです。

中心静脈圧をみて何がわかるかというと、簡単に表現すると「この患者さんの血管の中に水が多いのか、少ないのか」と言ったものです。もう少し詳しく言うと、手術中や手術後等輸液をたくさん行った場合や、心臓の重篤な病気など循環血液量(体内の血液がめぐる量)の増減が分かるようになっています。体には一定の水分量が必要となります。水分量が低下すると細胞レベルで体の元気がなくなってきます。

血液には酸素を運ぶ能力があります。身体に酸素が運べなければ、酸欠になって苦しむ気がしませんか?そんな時に自分で水を飲めればいいのですが、手術で麻酔をかけられて、深い眠りに付いているときにぐびぐび水を飲むことはできません。だれかが、お水をあげないとカピカピになってしまう。

あるいは、身体の中が水浸しになっていたらどんどん血管の外に水がでていってしまい、むくむくの小太りになってしまう…。そんな時に喋れない患者さんに対してお医者さんが患者さんの声を代弁する指標になっているのです。しかもただのお水ではなくて電解質とか栄養の入ったお水をあげることができます。この栄養が最初に書いてある経静脈高カロリー輸液です。

少し話が大きくなりすぎましたが、中心静脈圧を見ることで、「身体の中の水分量を図ってその患者にあった体内の水分量の調節ができる」というわけです。

CVカテーテルの使用方法

使用方法ですが、挿入するのはお医者さんです。看護師はその介助をします。もちろん血管にカテーテルを留置しますので、清潔操作(できるだけ菌をつけないような操作)で実施します。まず、中心静脈カテーテルは空洞です。そのまま挿入して使用し、そこのカテーテルから薬剤を投与すると、患者さんの体内に空気が入って死んでしまいます。

なので、生理食塩水+へパリン(血をさらさらにするお薬)でカテーテル内を満たします。そして、接続部の付属品達を薬剤が通るように組み立てていきます。これは商品によって違うと思うので言及できません。

そして、挿入する部分にイソジン消毒をして、頸動脈の張り具合や位置などをエコーで確認します。エコーをそのまま患者の皮膚にあてると不潔になるので清潔のエコーカバーを使用します。

カテーテルを指す前には、局所麻酔をしますので、その針や薬剤の用意をしておきます。看護師にできることは挿入時の患者さんのバイタルや表情(清潔シーツに覆われて見にくいですが…)や体動がないか、体動あれば鎮静剤増量(より眠らす)も考えます。しかし、あまり深い眠りに入ると血圧が下がったり呼吸止まったりするので注意してください。

挿入されたら、針と糸で固定されます。その上に固定のテープを貼り、終了です。看護師としては、この固定のテープを貼るセンスが必要です。レントゲンで尖端の位置を確認し、終了です。

看護師の役割

看護師はどちらかというと挿入介助より終ってからの薬剤の整理が大変だと思います。CVカテーテルには、ダブル・トリプル・クワッドがあります。カッコよく言っていますが、投与する道順が2つか3つか4つかの違いです。なぜ、道順が分かれているのかというと、薬剤には一緒に投与してはいけない薬剤があります。また、血圧を左右する薬と一緒に他の薬の投与していたら流量が変わってしまいますよね。

なので、重症な患者さんほど道順は多いです。基本はお医者さんの言うとおりに用意すればよいのですが、もし看護師目線でこんなに道順いらないんじゃないかと思う患者さんがいた場合には、先生にしっかり伝えたほうが良いと思います。道順が多いと医療費の負担も増えてくるので、その辺りの兼ね合いも難しいとは思います。

たくさん書きましたが、CVカテーテルはADL(日常生活動作)が低下している重症な患者さんに使用することが多いです。対象としては、手術中や手術後の患者、緊急入院で急変したショックバイタル(非常に状態が悪い)患者さんなどに使用することが多いです。正しく便利に使用していきましょう。