私が看護師を目指したきっかけは、幼少時代に遡ります。
幼い頃は体が弱く入退院を繰り返していました。そのため、親と幼稚園の先生以外で関わりを持つ大人というのが医師や看護師だったのです。そのためか、「どんな病気でも治すことができる医者になりたい」と思うようになるのは自然のことでした。どうやったら医者になれるのかと親に聞いたところ、一杯勉強をしなければならないと言われたため、その言葉を信じ勉強には熱心に取り組みました。
医者になることを目標に勉強に熱心に取り組んだきたため、小学校の頃はずっと優秀な成績をおさめることができました。中学生になり、小学生の時と同様、勉強には熱心に取り組みました。
ある看護師との出会いが人生を動かした
ある日のこと、大好きだった祖父が亡くなりました。祖父は遠方に住んでいたので、入退院を繰り返す祖父を頻繁にお見舞いに行くことができませんでした。しばらくして容体が急変したと知らせが入りました。意識がなくなり変わり果てた祖父の姿を見て私はただ涙を流すことしかできなかったのに対し、祖父を担当してくれた看護師さんは、呼び掛けても返答のない祖父に対しても、優しくも必死に声をかけてくれました。
その時、祖父を担当してくれた看護師さんが非常に印象的で、私の目標はいつしか看護師になることとなっていたのです。当初は医者になることが目標だったのですが、看護師の方がより、患者さんに近いと感じたのです。
高校は進学校に行き、看護師免許が取れる大学に進学しました。大学在学中は、勉強や実習の傍らで親元から離れて知らない土地に行ったのでアルバイトをしたり、その土地ならではの遊びを楽しみ、学生生活を満喫しました。そんな中でも看護師になる為の勉強は習慣化して行い、国家試験を無事に通過することができました。ようやく目標だった看護師になれたのだと思うと感無量でした。
学生時代の実習とはわけが違う現場
看護師の世界は厳しいのだということは学生時代の実習でも実感しましたが、学生と社会人とでは全く違いました。資格をもって働いて給料をもらっている以上、曖昧なことは許されません。分かりませんが通用せず、仕事が終わり帰宅してから毎日疾患や薬の勉強に励みました。頭では分かっていても、いざ実際の患者さんを前にすると、勉強してきた状況とは異なることが非常に多かったのです。
患者さんの病態は日々変化していくので、それに合わせた看護を提供するためにはどうしたら良いのか沢山悩みました。新人の頃は失敗もしましたし、私を育てようと試練を与えてくれた先輩に対し、当時はそれが分からず意見をし怒られたこともありました。
2年目、3年目と経験を重ねていくうちに、先輩が言っていた言葉の意味が理解できるようになったり、どんな患者さんに出会っても対応できるようになりました。今となっては看護師になって10年が経とうとしています。常に考えることは、どんなに経験を積んでベテランになっても初心を忘れずに何事にも望みたいということです。